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加工場の職人の人達と事務所にいる私は殆ど話をする事もなくタイムカードを押す際、時々顔を合わすぐらいだった。
皆年配のおっちゃん達ばかりで接点もなく一人一人の顔も名前も一致しないという感じだった。
ある時少しだけおっちゃん達と話す機会があり私はいろいろ聞かれた。
年は幾つだとか、なんで会社に入ったのとか…そんなような内容だったと思う。
その時おっちゃんの1人が
「井口さん、こいつだけには気をつけてね!手が早いから。」と私に笑いながら忠告してきた。
こいつ…というのが後に私の旦那になる人の事だ。
私はその時のこいつが誰かさえも記憶にないぐらい、その時は主人の事を気にも止めていなかった。
それもそのはず相手はおっちゃん連中の中では若い方とはいえ私よりも十歳以上も上。
しかも今までの私の周りにはいないタイプ。
高校中退、二十歳で結婚、三十で離婚バツイチ子持ち。
…ありえない。
何から何まで…ありえない。
なのにこのありえない相手と数週間後、私は恋に落ちることになるのだ。
人生って本当に分からない。
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