気のゆるみ

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ポッチャリした人の良さそうな着物を着た50代ぐらいの女性がそこには立っていた。 息子を抱いた私に向かって 「あら可愛い男の子~。何歳かな?」 「お熱があるの~。しんどいね~。」 など愛嬌のある笑顔で話しかけてきた女性に、人を疑う事の苦手な私はつい玄関先でその人に心を許してしまった。 「子育てってほんま大変よね。毎日同じ事の繰り返しだし、好きな事も出来ないし…私ももう大きいけど2人子供がいるの、今はこうやって着物を着て着付けの紹介のお仕事させていただいてるんだけど 私ももともとここで習って着付けの師範の資格とったの。 今は働く女性の時代でしょ…子供が小さい時に着付けの資格をとっておけば将来仕事にも役立てれるし、うちは教室に行くんじゃなくて、先生が生徒さんの都合のいい日に合わせて来て教えてくれるから、家にいながら勉強できるの。小さい子供さんがいるママ達も結構生徒さんに大勢いて 月に一度みんなで着物着て京都行ったり お食事会したり、友達も沢山出来るわよ。」 私は彼女の話に興味を惹かれたがやはり現実を見ないとと考え彼女にこう言った。 「…でも今はお金の余裕もないし、この子の他に子供2人もいるし…。」「そりゃそうよね… あっ…でも着付けの体験は無料だから一度体験してみない?。なんか私あなたとすごく話が合いそう。 着付けって難しく思うけどこんなチビでポッチャリの私でも意外に簡単に着れるのよ。 たまにはいつもと違う事してリフレッシュしなきゃ。」
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