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私が主人のいた会社に就職したのはある意味…
主人に出会う為に用意された避けては通れない運命だった気がする。
私は当時兵庫県にある美大を卒業したものの、自分の才能のなさを大学生活で痛感しデザインを仕事にする気持ちも失い
就活せずに2つのアルバイトを掛け持ちしながら生計を立て、カラコーディネーターの資格を取ろうと資格取得の為の学校に通っていた。
最初は美大に入った時と同様、カラーコーディネーターになるべく必死で頑張っていたのだが
徐々に資格があるだけではすぐに仕事が見つかるわけではない事に気付き
いつしかその夢も色褪せていった。
卒業と同時に実家からの仕送りは止まり 大学時代に住んでいた下宿先にそのまま
住み続けてはいたが
バイト生活だけでは 収入も少なく、学生時代に貯めていた貯金も徐々に底を突き始めていた。
私は不安と孤独と焦りで一杯だった。
親には好きな事を仕事にしたいと泣いてお願いして、高い授業料を払って大学にいかせてもらった手前
今更仕事も就けず田舎に帰るという選択だけは申し訳なくて出来なかった。
自分の中途半端さと誰にも頼れないという孤独感、金銭的な不安が毎日のように 私を追い詰めていった。
どうにかしなければっ…とにかく正規の仕事につかないと…
このままじゃ生活だってままならない。
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