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「奥さん、落ち着いて下さいね。
旦那さんは今どんな状態ですか?」
やたら冷静な声に
私は正直イラつきを覚えながら聞いてました。
「あのっ、プラスチックの結束バンドで首を自分で絞めてっ…私が気付いてあのっ…それは私がはさみで切ったんです!」
「ご主人は息をしてますか?
奥さんは人口呼吸出来ますか?」
「あっ…主人は息はしてます!意識もあるみたいですが、とにかく早く来て下さい!」
「そうですか、今もうそちらに救急車は向かってますから、奥さんは旦那さんに声をかけ続けて下さい。」
私は旦那の元に戻ると段々と明けていく暗がりの中で声をかけ続けた。
旦那は相変わらず苦しそうだが意識は辛うじてある。
何分経ったか分からないがサイレンの音と共に数人の救急隊員の人がドタバタ入ってきた。
私はまたどういったもので首を絞めたか聞かれ私は切ったバンドを救急隊に見せた。
その時になって私は自分の指も血が出ている事に気付いた。キッチンバサミで切る時に傷つけてしまったみたいだ。
主人の首にも切り傷がついていた。そうでもしなければ刃はバンドとの間に入らず切る事ができなかった。
切り傷はたいした事がなく旦那は意識がある事で迅速に担架に乗せられた。
私は救急隊の様子から主人の様子が大変な事態まではいってない事を感じ、なぜだか冷静になり鞄に携帯や財布を入れ自分の着替え子ども達の着替えを用意し グッスリ寝ている子ども達を起こした。
「みんな起きて!お父ちゃんが大変やねん!救急車で病院に行かなあかんねん!起きてこれすぐ着替えて!」
子ども達は眠い目をこすりながら起きだした。
「どうしたん?お父ちゃん?」
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