出会い

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当時、兵庫県と大阪の境に住んでいた私が 面接をする予定の会社には電車を二回乗り換え一時間半以上の時間を要した。 それでも今の生活から抜け出すにはこの道しかないとその時は思った。 ゆっくり思案する心の余裕もお金の余裕もなかった。 就職さえすれば何もかも上手くいくと思った。 だから… 私が電話をくれた彼に言われた会社の最寄り駅に降り立ち、 予想以上に田舎の小さな会社に連れて行かれて、かなりの違和感を感じても もう引き戻す事など出来なかった。 ただただ、かなり個性的でエネルギッシュな社長さんの話を聞きその場でこれから宜しくお願いしますというしか…世間知らずの私には出来なかったのだ。 自信もなく不安だらけの自分が引き寄せられてしまった運命のレールにいつの間にやら乗ってしまっていた。
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