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誰もいない街角で高笑いをするフードの男。
宙を舞う砂塵のせいで辺りが黄色く染まる。
不意に男がこちらを見た気がした。……
「…っ!」
手のひらがじっとりと汗ばんでいる。
夢から覚めれば元の現実。
階下からはいつも通り、母の料理する音が聞こえる。
時計が示すのはAM5:40。
二度寝に移行すれば、遅刻することは確実だ。
仕方なく、重い体をベットから引き剥がす。
汗ばんだ体を引きずって一階へと降りていった。
「おはよう。」
台所へと声をかける。
「…………。」
返事はない。
母は台所に立っていて、こちらからの声は確実に届く場所。
「母さん、おはよう。」
近付いてみたが反応はない。
何かがおかしい…。
「母さんってば!」
軽く肩に触れた。
―サラサラサラサラ…
何の音だろう?
同時に右手に違和感を覚えた。
手がざらついている。
思考が停止した。
「え…?」
母の肩が…欠けて…いる…?
正確には崩れていると言った方が良いかもしれない。
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