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――――ゴロ…ゴロ…
ゆっくりと檻が運ばれる。
起きたとき、自分が何処にいるのか把握するために数秒要した。
そっと『手』を自分の首元へ当てると、冷たい鎖があたる。
心の中でため息をついて、閉じていた目を開いた。
「ラビットを連れてきました。」
頭上から声がする。
自分は科学者たちにとって
『異様に知能が高い実験台』
らしい。
毎日様々なものを見せられる。
ただの映像、だけど。
「よし、入れ」
…ゴロ…ゴロ
コンクリートの部屋。
今までと違って何もない。
…いや…違う…
部屋の真ん中へ進むにつれて、用意されているものが見えてきた。
強靭そうな男が一人。
自分と同じ見た目をしている『普通の』白兎が沢山。
50羽…は、いるだろうな。
それと…遠目だから大きさはよくわからないが、砂が赤い砂時計が一つ。
科学者の一人が砂時計を此方へ渡して言った。
「好きなときにひっくり返せ。」
此方が話を理解しても、喋れないことを良いことに、科学者たちは部屋を出て、部屋に外から鍵をかけた。
ガチャン…
その音が虚しく反響するなかでゆらりと男が動いた。
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