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――――イタイ…。 意識が浮上すると共に全身を痛みが襲う。 …痛みで意識が戻ったのかもしれないが、鶏が先か卵が先かを論ずることと同じくらい無駄なことだろう。 手足の指先は少しだけ動かせる。 右腕は幸い無事に動く。 逆に言えば、それ以外は全く動くことができない。 目を開けても、閉じても、変わらない暗闇。 一攫千金を狙っていた。 仲間を募って、高価な石が出ると噂される洞窟に忍び込んだ。 随分深くまで掘った筈だ。 耳に残る轟音と共に明かりが消えたことまでは覚えている。 渇いた喉で人を呼ぼうと試みたが、呻き声が漏れただけに終わった。 二度、三度と声帯を振り絞ったが、虚しい結果に終わった。 辛うじて動く右腕で、なんとか体を動かせるだけの空間を作ろうと身を捩った。 腕を緩く動かした時、何か暖かいものに触れた。 同時に小さな呻き声。 「…生きてるか…?」 掠れた声で尋ねると、数拍おいてから、同じように掠れた声音で返事がきた。 「………なんとか…。」 暗闇の中、何も見えないが、一人じゃないのは心強い。 体の痛みも忘れて腕を振るい、温もりの近くへ、なるべく近くへ寄った。 「体は、動くか…?」 「…きつい…な…。」 「誰か…来るよな…?」 「……………そう、だな。」 会話が途切れないように、二人でポツリポツリと痛む喉で言葉を交わす。 故郷のこと、家族のこと、好きなもの、嫌いなもの…。 やがて、掠れ声すら出なくなりそうなほどの喉の乾きに襲われた。
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