プロローグ。

9/17
10人が本棚に入れています
本棚に追加
/25ページ
「まぁ、勝手に風呂に入ってた俺も悪いけど酷くないか?」 子供みたいに和寿さんはぷぅっとほっぺを膨らました。 「事実だし」 ニヤニヤしながらあたしは言う。 「そういう真っ直ぐなとこ変わってないな」 褒めてるのかしら? けなしてるのかしら? 和寿さんの場合、どちらも有り得る。 「バイタリティーなとこ変わってないわね。 和寿さん」 あたしも負けじと言う。 言われっぱなしとか嫌だしね。 「あのさ……」 あたしをジッと見つめて和寿さんは何だか言いにくそうにしてる。 「ん?」 あたしは気持ち顔を近づけ言葉を待つ。 「その『和寿さん』はやめてくれよ。 何か慣れないから馴染めん」 眉をひそめ、和寿さんは頬をポリポリかいた。 「んじゃ、昔みたいに『和くん』ってよんであげようか?」 更にあたしは意地悪を言う。 「それは……その……」 顔を真っ赤にし、和寿さんはしどろもどろになっている。 形勢逆転とはこの事だ。 さっきまでニコニコしていた和寿さんとはまるで違う。 自慢ではないけど、あたしは口だけは達者なんだよね。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!