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「まぁ、勝手に風呂に入ってた俺も悪いけど酷くないか?」
子供みたいに和寿さんはぷぅっとほっぺを膨らました。
「事実だし」
ニヤニヤしながらあたしは言う。
「そういう真っ直ぐなとこ変わってないな」
褒めてるのかしら?
けなしてるのかしら?
和寿さんの場合、どちらも有り得る。
「バイタリティーなとこ変わってないわね。
和寿さん」
あたしも負けじと言う。
言われっぱなしとか嫌だしね。
「あのさ……」
あたしをジッと見つめて和寿さんは何だか言いにくそうにしてる。
「ん?」
あたしは気持ち顔を近づけ言葉を待つ。
「その『和寿さん』はやめてくれよ。
何か慣れないから馴染めん」
眉をひそめ、和寿さんは頬をポリポリかいた。
「んじゃ、昔みたいに『和くん』ってよんであげようか?」
更にあたしは意地悪を言う。
「それは……その……」
顔を真っ赤にし、和寿さんはしどろもどろになっている。
形勢逆転とはこの事だ。
さっきまでニコニコしていた和寿さんとはまるで違う。
自慢ではないけど、あたしは口だけは達者なんだよね。
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