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「久しぶり! 前の同窓会以来だから、だいたい二年ぶりくらい?」
「お久しぶり。相変わらず元気だね」
「それだけが取り柄だもの!」
まだまだ若さを感じさせる笑顔を見せた小島という女性は、久喜とそんなありきたりな世間話をした後、ふと私を見て首を傾げた。
「……こちらは? お知り合いの方かしら」
あまりにも真面目に尋ねるものだから、思わず久喜はぶっと吹き出した。……確かに、元クラスメイトに「知り合い」と言われる私も私だが、そこまで笑われるいわれはない。
「っちがうちがう。あいつだよ、あいつ。さかき。榊 惣一」
「………………さかき……………ああ!!! 榊くん!?」
名前を聞いて思い出したのか、彼女は何度もかぶりをふる。懐かしいわ! と肩をばしばし叩かれた。
「うわあ……何年ぶり? もしかして卒業以来!?」
「そうそう、卒業以来」
「なんで御前が答えるんだ」
じとりと横目で睨めば、彼はにやにやと眼鏡のしたの眼を細めた。
いつの間にか、いつもの久喜に戻っている。そんなことに、わけもわからず安心して。
「ね、ね、榊くん。私誰かわかる?」
なんだかいやにテンションが高い小島は、いきなりそんな問いかけをしてきた。
「…………小島、なんだろ?」
先ほど久喜が呼んでいた名前を口にしたら、
「あー、やっぱり覚えてない!!」
さいてー! と罵られてしまった。
………自分も覚えていなかったというのに酷い言われようだ。
そんなやり取りをみて、相変わらず久喜はひとり笑っていた。
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