庚信二

4/6
前へ
/64ページ
次へ
「はーい」 信一は普通に鞄を持って、先生の方へ歩いていく。 前もその前も! 信一と帰る時に邪魔されるのはこれで三回目だ。 信一と帰れた時は貴重なアピールタイムなんだから…! 邪魔すんじゃねぇよハゲが! 残った毛を焼き払うぞコラ!! …… 「信一!信一!」 ハゲのいる教卓まで行きかけた信一を慌て呼び止めた。 まだ手はあるわ! 「下駄箱のところで、待っているから……」 今回は是が非でも信一と帰る。 絶対に逃がさないわ! 「ああ…うんうん」 信一の暗い目が私の上目遣いにばっちりあっちゃった♪ きゃ!ドキドキしちゃった! え?暗い目? そんなの光の具合よ! もう一人の私! …因みに私はカードゲームは弱い。 ってか小学生以来やってない。 「まだかな~?」 そして下駄箱で待つこと3時間。 アプリのボタンはや押しするやつが、そろそろ8万点を越えそう。 その時ハゲが目の前を通りすがって、こっちに気付いた。 一瞬驚いて、一瞬嫌そうな顔をした。 「どうした大山、帰らないのか?」 お前のせいだ。お前の! たぎる殺意を抑える。 ハゲがいるなら信一はこの加齢臭野郎から解放されたって事だ。 お説教されてしょげてるだろうから、私が元気つけてあげなくちゃ! 「信一待ってます、先生がここにいるなら…信一はもう帰れるんですよね?」
/64ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加