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「本当、ごめん。……俺どうしても甲子園に行きたいんだ。部活…始まるから、じゃ」
バタバタと慌ただしく、荷物を抱えて教室を出ていく野球馬鹿を引き留めることはできなかった。
私の返事も聞いていないのに、勝手に別れたつもりになっているのだろうか。
アイツの頭には野球のことしかないのだろう。
私という彼女のことを思うキャパシティはないのか。
「っ……!!」
泣くな、泣いたらせっかく気合いを入れてメイクしたのが台無しになってしまう。
夜が忙しいなら、朝に少しでも話してくれるのかと思って慣れない早起きをして、メイクも髪もいつもより気合いを入れて来たのに。
窓を見なくてもわかる。
野球部の掛け声をBGMに、私は
「……やきゅうばかっ」
一方的に終わらされた恋を噛み締めた。
無理難題*
相手が到底実現、達成できないような要求。
また、無理な言いがかり。
(一緒に出掛けたいって言うのも駄目なら、最初から告白すんな、ばか!!)
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