1、始まりは突然に

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改札を抜け、けだるい流れから脱出すると、雨が地面を打つ音が耳につきさらに気が重くなった。 俺はこの時期が嫌いだ。この雨と空気のけだるい感じが何度経験しても、どうにも気に入らない。 思いながらも、肩にかけたカバンから折りたたみ傘を取り出して、歩きはじめる。 しかし、五歩ほど歩いたところで視界にノイズがはしり― 『我……力…求め………』 ―なんだ!? 視界にノイズがはしった瞬間、声が聞こえたような。いや、確かに聞こえた。少し高い女の子の声が。 一瞬周りにいた誰かの声かとも思ったが、何かが違う。 耳で聞いたのではなくて、頭に直接響いてきた感じだ。 「君…君!大丈夫かい?」 考えてると眼鏡の爽やかな男性が声をかけてきていた。
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