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改札を抜け、けだるい流れから脱出すると、雨が地面を打つ音が耳につきさらに気が重くなった。
俺はこの時期が嫌いだ。この雨と空気のけだるい感じが何度経験しても、どうにも気に入らない。
思いながらも、肩にかけたカバンから折りたたみ傘を取り出して、歩きはじめる。
しかし、五歩ほど歩いたところで視界にノイズがはしり―
『我……力…求め………』
―なんだ!?
視界にノイズがはしった瞬間、声が聞こえたような。いや、確かに聞こえた。少し高い女の子の声が。
一瞬周りにいた誰かの声かとも思ったが、何かが違う。
耳で聞いたのではなくて、頭に直接響いてきた感じだ。
「君…君!大丈夫かい?」
考えてると眼鏡の爽やかな男性が声をかけてきていた。
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