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「なにがぁ?どこが違うんだよう!」
コジは子供みたいに両手を机に何度も叩きつけてぶーたれはじめた。
机に置きなおした酒がゴロン、と転がりそうになったので、
俺はこれ以上振動が来ないようにと
酒もまな板のそばに置いた。
「近々みんなにも言うけど、俺は今の状況はダメだと思ってる!
こんなにだらしない生活をしちゃダメだ!
いつか大事な時にきっと困るはず!」
そう言ってコジを見ると、今まで座っていたはずのコジがいつの間にか立ち上がり、俺の目の前にいた。
吐息を感じるくらい近くに顔があり、両肩をつかまれている。
後ずさりをしたら、ごつんと流し台に腰がぶつかり、ぐらんと酒が揺れた。
右手に持っていたはずの包丁も、気づけば流し台に置いてある。
コジが俺の手から奪ったのだろう。
「なっ、なんだよ…」
胸が壊れそうなくらい鼓動が激しくなっているのを悟られないように、俺は冷静を装って言った。
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