たいまつ

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まるで業火に焼かれているようだ。 来る日も来る日も、 俺は好きな人が別の誰かと愛し合っている姿を見る。 それを見ると心臓に激しく火が灯り、 痛みと共に胸部を焦がしていく。 毎夜ひどくなる痛みで目が覚め、俺は寝室を抜け出し静かに外に出た。 真っ暗闇に浮かぶ帆とたいまつをじっと見つめていると、 昼間に見た光景が鮮やかにフラッシュバックしてくる。 もう苦しみたくないのに、俺の頭の中は見たくもない映像を勝手に再生する。 ゆっくりと方向転換し、俺は見張り台の梯子に手をかけた。 梯子を一歩ずつ踏み込んでいくと力をかけた足の裏がじりじりと焦げる感覚がした。 進んではいけない、ともう一人の俺が言っている。 罪を犯すのか、と。 声を振り切って道を進んでいくが、手や体から汗が噴出してくる。 俺らしくもない反応と言うかもしれないが、俺だってどうしてこんな風に苦しんでいるのかわからないんだ。 今まで他人なんてどうでも良かったじゃないか。 自分の思い通りにならない事なんてすぐに切り捨てられたのに、 いつだって心の平穏を手にしていたのに。 ただ好きな人が、 俺じゃない誰かに向ける笑顔を見ただけ。 たったそれだけ。
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