たいまつ

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俺は必死に自分に言い聞かせようとした。 きっと落ち込んでいる相手を励ますため体に触れただけなのだろう。 「なんかさぁー、嫌な事とかあったら言えよ?強制はしないけどさー 言って楽になるんだったらどんどん言ってきて大丈夫だから!な!」 先輩の顔がこんなに近くにあるなんて。 この至福のときを純粋に楽しめばいいのに、 俺はまた勝手に余計な想像をしてしまう。 『あの人』がいつも見てる光景だ、 そして『あの人』からすれば特別な事じゃない光景だ。 「…先輩は」 ゆっくり喋り始めた俺を見て、彼は「なになに?」と一生懸命聞く体制に入る。 何の疑念も持っていない顔だ。 「…」 言っちゃいけない気がするが、 どうしても聞きたかった、 何故かどうしても言いたかった。 「…あの人の、どこが好きなんですか?」 俺はいつものように、何も深い意味はないという顔を作った。 「えっ、えぇと…そ、そうだなぁ……って、恥ずかしいだろー! 何言わせようとしてんだよ!」 「いや…いつも仲良さそうなんで、よっぽど好きなのかと思って」 …自分で言ってる言葉に吐き気がした。
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