帆影

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時期は初夏。天気は快晴。 真っ直ぐな日差しと波の音。 昼飯を食べたばっかりの俺達は、日陰でお昼寝タイムを始めていた。 航海を始めてはや一ヶ月。 新しい島や不意の戦闘もなくゆらゆらと揺れる船上。 食料はまだたっぷりあるのだが、とにかくこの船には娯楽がない。 カードゲームは擦り切れるほどやった。 海に飛び込んで泳ぐなんて、楽しかったのは最初の一週間くらいだ。 …何もない未開の地の住人は、日がな一日セックスをしていると聞く。 まぁ、お察しの通り、俺達も随分前からその状態だ。 大きな帆がなびく船上の後方。 帆が三つほど重なり、俺達の姿は影に隠れて見えない。 「誰か、来るって…っ!きょーへー…っ!」
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