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「ぶ~ちょ~お~~」
酒を飲んでるのか、誰かがケラケラ笑いながらキッチンに近づいてくる音が聞こえた。
どこかにぶつかる音が何度もして、こいつ怪我するぞと思いながら俺もドアに近づく。
ドアノブに手をかけようとするとものすごい勢いでドアが開き、
危うく俺は顔面を強打するところだった。
「あっぶねぇなぁ!誰だよ!」
もう少しでぶつけそうだった鼻の辺りを手で押さえながら、
俺はその危険なよっぱらいの肩をつかんだ。
何度も掴んだ事がある肩の感覚。
コジだ。
「俺!俺俺~~!俺だよぉ~~部長ぉぉ~~」
「何度言えばわかるんだ、俺は『部長』じゃない、『船長』だ」
何百回と繰り返した事のある会話をいつものように発しながら、
俺はフラフラしている酔っ払いを近くの椅子に座らせ、
キッチンのドアを閉めた。
「酒くっせ」
目もとろ~んとしてるし体も妙に揺れてるし、
完全にできあがってるなコイツ。
「部長も飲もうぜ~!飲んでないの部長だけだからさああ~!」
コジは右手に持った酒を大きく振り上げ、左右にブンブンと振り始めた。
同時に左手でバンバンと机の上を叩き、その振動で今日の晩飯たちが小さくジャンプしている。
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