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「翔吾って呼んでもいい?」 おずおずとそう聞いてみると、翔吾は困ったような顔をする。 「お前さ、まさかまた来るつもり?」 「うん!」 ニッコリ笑ってそう頷くと、翔吾は慌てたように必死に説得しようとする。 「いや……あの……俺の言うこと聞いてた? ひなが来るようなとこじゃないんだって!」 うろたえる翔吾を尻目に、私は怯むことなく答える。 「だって、家出してきたんだもん お父さんはいないし…… お母さんもあんまり帰ってこないし…… 学校だって……」 そう言いかけて、私は言葉を濁した。 さっきまでうろたえてたはずの翔吾が「ん?」と私の顔を覗きこみながら優しく続きを促す。 だけど、なぜだかこの人には自分がいじめられていることを知られたくなかった。 俯いて黙りこむと、翔吾は急に自分の話をしはじめる。 「俺もさ……実は家が嫌で飛び出したんだ 両親はいたけど、親父が酒呑むたびに暴れてさ お袋はお袋でそんな親父に愛想つかして浮気して出ていっちまうし…… 学校もだんだん行かなくなって、ここに居場所を求めて辿り着いたってわけ」
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