見知らぬ男

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壁一枚隔てた場所に、自分の母親とあの男が二人で仲良く寛いでるのかと思うと気分が悪くなった。 このまま家にいたくないという思いでいっぱいになって、ふと腕を見ると鳥肌が立っていた。 頭よりも先に体が嫌だと反応していたのかもしれない。 急いで着替えると、出かけようと部屋の襖を開けた。 「――ッ!」 その瞬間、息を呑んで固まったまま動けなくなる。 なぜなら……襖を開けたすぐそこにさっきの男が立っていたから…… 「何だよ!こんなとこで何してんだよ!」 思わずそう叫ぶと、伊丹は悪びれる様子もなく、ニヤニヤしながら私に近づいてくる。 「出かけるのかい? お母さんから聞いたけど、学校にも行かないで、夜に遊び歩いてるそうじゃないか? まだ中学生なんだし、ダメだぞ、そんなんじゃ」 ゾッとした。 同時にすっかり父親気取りの伊丹に腹が立った。
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