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「はぁ?なんであんたにそんなこと言われなきゃなんないんだよ!」
声を荒げてそう叫ぶと、伊丹の横をすり抜けて玄関に向かおうとした。
その時――
脇腹をグッと自分に引き寄せるようにしながら、伊丹が私の体を右手で押さえる。
その瞬間、虫酸が走り体が震えた。
思いっきり突き飛ばすと、壁に勢いよくぶつかって、ぶよぶよした伊丹の体が揺れた。
「キモいんだよ!触んな!!」
狭い廊下を伊丹から極力体を離しながら、私は急いで家を飛び出す。
後ろで母が何か叫んでいたが、立ち止まる気も、戻る気もなかった。
気持ち悪い……
気持ち悪い……
気持ち悪い……
伊丹に触られたお腹の辺りにさっきの感触がまだ残っている。
お母さんもお母さんだ。
なんであんなやつに私のこと話してんだよ!!
そう思うと悔しくて涙が出そうになった。
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