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「へぇ……そうなんだ……」 なんの感情もない声でそれだけ言うと、私はもう母とこれ以上話したくなくて、部屋に引っ込もうとした。 閉めかけた襖を母がガッと押さえて、さっきよりもさらに私に顔を近づけながら懇願するように口を開く。 「今までひなのこと、一人にしちゃってて本当に可哀想なことしたと思ってる。 母子家庭だとどうしてもお母さんが働かなくちゃ生活していけないから、ひなに寂しい思いさせていたんだって、お母さん……反省したのよ? ひながこんな風に反抗的になったのだって、寂しかったからなのよね? 伊丹さんのおかげで、母さん……やっとひなの側にいてあげられる ね?わかるでしょ? だから伊丹さんと仲良くしてもらいたいのよ」 そんなこと誰も望んじゃいない。 お母さんはわかってないんだ。 いくら母子家庭でお母さんがいなくたって、私は寂しくても我慢できたのに…… お母さんが一生懸命働いてる背中を見て私は誇らしかったのに…… 私がなんで寂しい思いをしていたのかを、お母さんは勘違いしてる。
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