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「サンキュー、また返しに来るから」
そう言い残し、茂は防活課に戻った。
「全部十円だ、つか1円もあるし…」
大杉が、少し迷惑そうに呟いた。
「やっぱりな」
夕方、小煩い連中が終業時間を待つだけの中、茂は先程のビデオを見ていた。
殆ど明かりも人通りもない、しかし、北側の防犯カメラの映像が一瞬、暗くなった。
何か、大きな影だろうか?
そして、ようやく下った指令。
指令は指令でも、警察のものではない。
バイト中の平島健一は、けたたましいアラームを鳴らす腕時計型ツールを操作した。
「ユニオン」の指令だ。
一連の拉致事件についてはエージェント・オニキスが調査中、合流して支援せよ。
という指令が万能ツール、ユニオンブレスから流れる。
「え-…めんどいな」
健一は、重い溜息を吐いた。
命令なら仕方が無い、健一は後輩に謝り、バイトを抜け出した。
都合よくマネージャーも休みなので、今日は自由に動けた。
「さて、どうしようかな」
健一は、ユニオンブレスを操作し、茂からの連絡メールに目を通し、ユニオン司令に伝える。
「新京都上空にサーチをかけて下さい、多分それで十分」
了解、という機械的な声がユニオンブレスから聞こえる。
ユニオン司令とは何者か、ユニオンを創設した偉大な勇士という話だが、噂でしかない。
「ま、いいさ」
健一は、愛車のフェイズに乗って映画館を後にした。
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