馴染めない男

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 茂は、変形前のジェットストライダーに跨がり、人々が歩みを進める方向に向かう。  そこから少し進んだ所にある港…新京都港には既に数十人が集まっていた。 「何だ…?」  茂は、港を見下ろせる少し高台になった展望広場から、その様子を見ていた。  わらわらと集まる人々、その中心にタキシード姿の男が見える。  タキシードが大声で話す。  港と展望広場は、かなりの距離があって、常人にはタキシード男の声は聞き取りにくいのだが、茂には聞こえた。 「皆さん!よく来てくださいました!これから約束どおり、皆さんが必要とされる住みよい場所に皆さんをお連れします!」  人々は病的な表情で、早く連れていってくれ、早く解放してくれ等と叫んでいた。  今にも暴動が起きそうなほど、人々は興奮していた。  その時、新京都港上空に一筋の光が走った。  その光は徐々に実体を表し曲線的な船となった。 「…スペースボート!」  茂は、見ている場合ではないと、ジェットストライダーのアクセルを全開まで捻った。 「変身ッ!」  オニキスに変身し、ジェットストライダーごと小型の宇宙船に突撃する。 「ぶち抜く!クラッシャーブレイド!」  ジェットストライダーの機首に装備されたビームランサーとカッターウイングが展開し更に、後部のブースターが点火、猛スピードでスペースボートに突撃する。 「困りますね」  スペースボートまであと少しのところでタキシードが目の前に現れ、障壁を作った。  障壁に阻まれ、ジェットストライダーの突進は角度を変えられてしまう。 「邪魔をされては困ります」 「やはり貴様、エイリアンか!」
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