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オニキスは、ジェットストライダーの体勢を立て直し、スペースボートに向き直る。
「この人達をどうするつもりだ!?」
ククク、とタキシードが笑う。
「彼等を必要とする場所に連れていくだけですよ」
「必要とする場所?どうせ洗脳の類だろう」
怒鳴るオニキス。
人々の病的な表情、それが総てを物語っている。
この男が、甘言を用いて人々を魔界に誘ったに違いない。
「洗脳?この者達は自分の意志でここまで来たのですよ?」
タキシードは続ける。
「よろしいですか、私はこの星の腐りきった社会における憐れな迷い人を導くために来たのです。洗脳など、施す必要はありません、彼等は自分の意志で私の船に乗りたがっているのです、この息苦しい世界から解放されたがっているのです…もっとも、お「声」だけはかけさせていただきましたがね」
慇懃無礼な奴め…もはや語るまい、オニキスはジェットストライダーから跳躍し、タキシードに踊りかかった。
「そんな台詞はな、侵略者の決まり文句だ、これ以上はさせん」
エクストリームナックルを放とうと、オニキスは右手にエネルギーを集中させる。
「やれやれ、野蛮人が……仕方ありませんね」
タキシードの男を光りが包む。
光りがやむと、そこにいたタキシードは、頭部から肩にかけては和甲冑風、胴、下半身は西洋甲冑風の戦闘体に早変わりしていた。
ゴテゴテした印象は無く、紫や青の体色がスマートさを感じさせる姿だった。
「いきますよ」
ジャルード(この際、タキシードや甲冑と呼ぶのはやめよう)は、右手甲にエネルギーの剣を発生させ、エクストリームナックルを受け止めた。
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