1.覚醒

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雪乃は静かに…いや聞こえないように?そう呟いた。 しかし火の玉はそのまま、雪乃に直撃してしまった。 雪乃はそのまま崩れるようにして倒れる。 「雪乃!!!」 オレは向かってくる鬼塚を無視してそのまま、雪乃の下へと進行方向を変えて急ぐ。 そのとき猿野は表情が青ざめ、足がふるえていた。 いくら敵とは言え自らの力で相手を傷つけたことは確かだ。 それはもちろん、自分に生まれる罪悪感で押しつぶされそうになって当然である。 猿野はその罪悪感から目を瞑って現実逃避をし、自分にこう言い聞かせていた。 仕方ない仕方ない仕方ない仕方ない 脱出するため 脱出するため 脱出するため 脱出するため 勝つため 勝つため 勝つため 勝つため 勝つため …と 鬼塚も猿野の姿を見て走るのを止めた。 「雪乃!!! おい雪乃!?」 オレは雪乃の肩を揺すりながら、起こそうと必死になる。 しかし目を覚まさない。 まさか…あの雪乃が・・・? 死…んだ? 「・・・」 「ぐはぁ!!!」 遠くで猿野が突然叫び出した。 この叫び声は痛みからの声だ… 痛み? 何故? 「何故って当然じゃない… 私にダメージなんて全くと言っていいほどないんだから」 雪乃が目を覚ました。
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