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「ダメージがない…だと?」
猿野が血がにじみ出ている肩を苦痛の表情を浮かべながら肩を押さえながら尋ねる。
その表情とは異なるが疑問になっていたのはオレも…多分鬼塚も一緒だろう。
確かに火の玉は雪乃に直撃したはず…
それなのにダメージがないと言うのはどう考えて、違和感だった。
雪乃は立ち上がり、制服についた埃を払いながらこちらを全く見ずに呆れながら話す。
「別に氷になんてしなくていいのよ…
むしろ、こっちのほうが体力も使わなくて済むし楽。
ただちょっと集中力は使うかしら?
…というか、星野空…あなたならこれくらいで驚かないと思ったわ。
私の能力をはっきり判断したあなたならすぐに理解できていると思ったのに…買い被りすぎたかしら?」
オレが雪乃の温度変化を判断?
確か、雪乃の温度変化は熱エネルギーの操作だったはずだ。
…あれ?
じゃぁなんで火が氷になんてなるんだ?
「お前…まさか、オレまで騙していたのか?
ここで決着をつけようと最初から考えて・・・」
「ようやく気づいたの?
まぁそんなことはどうでもいいわ
だって作戦は失敗したんだもの…
それにしても残念ね
手元が狂ったのか…それともまだ私が精神的に弱者なのかしらね…
ごめんなさいね猿野さん…あなたを私の弱さで楽に終わらせてあげられなくて…」
無表情で話す雪乃のこの言葉に猿野は正直に恐怖した。
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