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「なに!?」
足を掴まれたオレは宙吊り状態になる。
すなわち無防備な状態…さらに雪乃は呼吸が困難になっている為、反撃に移れない…
つまり助けがない。
最大のピンチというわけだ。
「満の分…」
鬼塚はそう呟くとオレを思い切り投げる。
オレはそのまま地面へと叩きつけられる。
「ぐはぁ!!!」
痛い…そういうレベルはすでに越えている。
もう、死すら予感した。
血を吐き、目はうつろになり、訳が分からない。
「お前らだけは許さない。」
怒りに満ちた鬼塚はその名の通り、鬼神となり襲いかかる。
その前にオレと雪乃は太刀打ちできやしなかった。
強すぎる…
素直にそう思った。
「ハーハーハー」
息は乱れ、身動きが取れない状態になる。
これはマズい…
こんなところで終わるわけにはいかない…
だってみんなを助けるためにオレはいるんだから。
それはきっと雪乃も思っていただろう。
オレは身体ではなく、精神だけで立ち上がる。
身体の限界を超え、精神の塊と化す。
立ち上がるのがやっとだった…
オレは構えすらとれず、もう攻撃を受けるのを待つしかなった。
「お前の負け」
鬼塚がそう呟くと、風船目掛けて攻撃をしかける。
少しずつ近づいてくる鬼塚の右拳がスローモーションに感じた。
オレは、目を瞑り、負けを悟った。
そして何度も謝り続けた。
みんな…ごめん…と
「君がここで負けるのはまだ早いよ…」
鬼塚の後方からその声が聞こえた。
「パン!!!」
そして風船は割れる音が響いた。
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