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い、今起こったことをありのままに話すぜ…。
兄さんがボールを追って海に入るかと思ったら、水面を走ってやがる…。
な…何を言ってるか分かんねーと思うが、私も何をしているか分からなかった。
泳ぎだとか駆け足だとか、そんなチャチなもんじゃ断じてねえ…。
もっと恐ろしいものの片鱗を味わった気がするぜ…。
…こほん。要するに、兄さんが水面を走ってます。
兄さんが色々隠してるのは知ってましたけど…こんなの誰も予想しませんよ。
周りの人たちもポカーンとしてるじゃないですか。
…っと、付いて来るように言われてましたね。
私は急いで泳ぎで兄さんの後を追います。
で、ちょっと兄さんを見てみたら…。
ボールが着水する地点で、兄さんは水面を蹴ると同時に体を捻り、ボールに向かって右足を振りました。
京輝「反省しろや馬鹿幸助ー!」
そんなかけ声と同時に、兄さんはボールを蹴りました。…と思ったら私の横を水面を裂きながらボールが通過しました。
幸助「へ…ギグォァ!?」
と思ったらすでに倉井にボールが当たったようでした。
京輝「ざまぁみ…」
ぽちゃん。と兄さんが水中に沈み…………………………………………………兄さん?あれ?浮かんできません。
まさか…!?
留華「急がなきゃ…!」
思えば、兄さんは泳ぐことを極端に避けていました。学校の体育の授業でも、いつも見学だったような…。
それが示す答え…。分かりますよね?
急げぇぇぇ!!
京輝「けほっ…けほっ…」
両手と両膝を地に着け、吸い込んだ水を吐き出す兄さん。
何とか溺れる前に救助出来ました。本当に良かった。
留華「…泳げなかったんですね」
兄さんのすぐ横に座り、声をかけます。
京輝「…迷惑かけ…けほっ…」
留華「迷惑じゃありません…」
兄さんの背中に手を伸ばして、はっとして止めます。
…私、よく兄さんに避けられます。嫌われているのでしょうか。
…ですよね。私、ロクな事しませんし…。
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