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京輝「…ありがとう」
か細い声で、そんな事を言われ、思わず兄さんの方を見ます。
兄さんの髪の隙間から、私を見上げる潤んだ瞳。そういえば、今は眼鏡かけていません…。
京輝「少しは…楽しめたかもな」
ニコッと兄さんは愛らしい笑顔を私に見せました。
留華「…私も…!」
私も自然と笑いました。少々ドキドキしてたけど、気づかれてないですよね…?
†††
カチャン。と金属が同士がはまった音が聞こえ、左手左足の自由が奪われた。つまり、俺の左手足と留華の右手足が捕らえられた。
ビーチバレーは結局光達が優勝したらしい。俺はそれどころじゃ無かったので見ていない。
京輝「…何で手錠があるんだ…」
光「あの家にあったから、貸してもらったんだよ」
ご機嫌な光がにこやかに返答した。殴りたい衝動に駆られたが、なんとか抑える。
何であった。侵入者捕縛して拷問するのか?
何か特殊な封印してあるから、ピッキングとかじゃ外れそうにない。特殊な解除用道具が必要みたいだ。
因みに、もう荷物を取ってきて帰るところ…というか駅だ。
京輝「つーか、この手錠短すぎだろ」
何かもうくっついてるのと同じだ。体温とか伝わってくるし。
真由「今更文句言うな!」
…何故か長谷川さんの表情がいつもより酷い。いつもは少しくらい笑顔も混ざっていたのだが…。
純度100%の不機嫌な顔を向けられたので、文句は止めておこう。
京輝「もういいや。悪いな留華」
留華「…あ…いえ…」
俯きながら話す留華。何かデジャビュ。
幸助「羨ましいじゃないか!」
何か目がイヤらしい幸助うぜぇ。つーかきめぇ。
くそっ…早く電車来いよ…!
†††
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