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時が過ぎ、電車の中。あんまり混んでなかったから、ボックス席に座ることが出来た。
まあ、もちろん隣は留華だ。
京輝「…」
留華「…」
二人して手足を目一杯伸ばして座る。何と異様な光景だろう。因みに俺が窓際だ。
光「…何か喋れば?」
光は隣のボックス席で4人で座っている。
全員でこっちを見ているから、落ち着かない。
京輝「…何でおまえ等はこっち見てんだよ」
愛「おもしろそうじゃん」
…さいですか。
留華「…兄さん…」
京輝「なんだ?」
留華「…疲れました」
と言って、手を伸ばすのを止めて普通に座る留華。
…俺も普通に座ろ。
と、思って普通に座ると手が触れ合ったり肩が触れたり…。
京輝「…落ち着かん」
留華「え?」
何だその驚いたような声は。
留華「兄さんでも落ち着かない時ってあるんですか?」
京輝「俺は普通の人間だぞ。心を乱す時くらいはある」
へぇ~、と興味深そうに頷く留華を見て、俺って変な奴かな~と思う。
京輝「…そういうお前だって結構無表情じゃねぇか」
向こうの奴らに聞こえないように小声で囁いた。
留華「あなたもですがね…」
そう言って微笑みを俺に向けた留華。
京輝「…表情は作るようにしてたんだけどな…」
しっかりバレてら。
留華「いつからあなたの事を見てると思ってるんですか…?」
京輝「はは…何か恥ずかしいな」
頬を掻きながら言う。
留華「あ…」
頬を赤く染めた留華。
京輝「…変な奴」
留華「…うるせーです…」
そう言って、俺に頭を向けて俯いた留華。向こうに向くとあいつらに見えちゃうしな。
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