9056人が本棚に入れています
本棚に追加
京輝「ちょっと黙れ」
留華「ぁん…兄さん強引…」
京輝は手が繋がっている事を利用し、手を勢いよく振って留華を地面に倒した。
京輝「あの…」
これからが本題だと思い、控えめな声になる京輝だが。
栄華「今夜はお赤飯かしら?」
京輝「何もしてねえし、する気もねえよ!」
留華「あの時は激しかったよ…」
京輝「余計な事言うな!」
栄華「あらあら…今から小豆買ってこなきゃ…」
京輝「要らねえよ!あんたら一体何なんだ!?」
京輝は泣きそうな顔になった。
誠「…はぁ…」
誠も呆れたようなため息をつき、額に手を当てた。
誠「…京輝」
京輝「…?」
改めて話しかける誠。その顔は真面目なものだった。
誠「謝ろうとしているなら、今すぐやめろ」
京輝「…」
何故?とは聞かなかった。聞かなくてもすぐに明かされるだろう。
誠「お前も…留華も、共に笑っているんだ。これ以上幸せなことはない」
誠は、幸せそうな顔で微笑んだ。
京輝「…」
だが、京輝の心中は複雑だった。
留華は分からない。が、自分は心から笑えているだろうか?
本当の自分を必死に隠すうちに、いつの間にか本当の自分を見失っていた。
この笑顔は本当に自分の笑顔なのだろうか?
…いや、関係ない。
自分は笑っている。それ以外の事実が存在しない以上、本当の自分でなくても、本当の自分でも、自分は楽しいから、幸せだから笑っている。
京輝「…」
…我ながら意味不明だ。そう思った京輝だが、心の中には一つの確信があった。
幸助と遊んだり、留華に振り回されたり…他にも色々。
そんな日常が、楽しくて、幸せなんだ。
最初のコメントを投稿しよう!