9056人が本棚に入れています
本棚に追加
時は翌日に飛ぶ。
京輝「んぃ…」
午前5時と朝早く起きてしまった俺。昨日は疲れてたから寝るのが早かったんだよな。
京輝「…」
お腹の上で眠っていたキュムを静かにベッドに置き、俺は部屋を出た。
誠「…来たか」
顔を洗って眠気を覚まし、動きやすい服に着替えて庭へ出た俺。
そこにはやはり動きやすそうな服を着た誠さんが仁王立ちしていた。
京輝「…留華が来ても困ります。やるなら早くしましょう」
張り詰めた雰囲気から、今からすることの想像は大体つく。
誠「心配は無い。場所を変える」
そう言って、家の外に歩き出した誠さん。
俺はそれに続いた。
十数分歩いて着いた先は、道場だった。誠さんが護身術を教えている道場だろう。
芝生に覆われたサッカーグラウンドくらいの広い庭に、小さな道場。おそらく庭をメインに使っているのか。
京輝「…一応確認です。今から…闘えってことでいいんですか?」
誠「ああ」
誠さんは木刀を二本、倉庫のような場所から取り出し、一本を俺に投げた。
俺はそれをキャッチし、素早くいつでも振れるように握り直す。
誠「…あの時から、どれだけ変わったか…見せてもらう」
誠さんは木刀の切っ先を地面に向けるようにして構え、言い放った。
毎日強くなるために、努力していた俺を見たことがあるのだろう。まだ俺が小さい頃の事だと思うが。
一心不乱にただ木刀を素振りしていたあの頃の俺は、気配すら読めずに、見ていた誠さんには一切気づかなかった。
京輝「…少しはマシになりましたよ。ただ何も出来ずに逃げ回っていたあの時とは、違うんです」
俺は木刀を片手で持ち、自然体に構える。
誠「…いつでも来い」
京輝「なら…遠慮なく!」
俺は地面を強く蹴り、誠さんへ一直線に跳んだ。
最初のコメントを投稿しよう!