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「…様子見はこのあたりでいいだろう」
誠は構えを解かず、京輝に声だけかけた。
「…そうですね」
京輝は呟くように答えると、再び攻撃を仕掛ける意志を決めた。
誠はそれを察し、警戒心を強くした。
京輝は先程と同様、一直線に誠へと向かい、剣を振り下ろした。
誠はそれを怪訝に思いながらも、攻撃を受け止める。
「っ―!?」
先程とは違い、音は一切鳴らず。だが瞬間的衝撃は段違いに強く、誠は顔を歪めた。
京輝は素早く剣を引き、地に足を着け、剣で誠の腹部を殴ろうとした。
「ぐっ…」
間一髪で後退した誠。京輝の剣は空を斬った。
再び訪れた静寂。
「…手、抜かない方がいいですよ。油断してれば一瞬で倒します」
トーンは高いが、威圧感の込められた声が沈黙を破る。
「…そのようだ。こちらも―本気だ」
構えは変わらず、しかし放たれる威圧感は比にならないほど重くなる。
「…」
表情を変えずにただ誠を見据える京輝。こちらも自然体のままで、一見隙だらけだが、誠の目には一寸の隙すら見えない。
緊迫した空気の下、先に仕掛けたのは―――誠だった。
一気に京輝に接近し、ただ単純に剣を振るう。
「っと…」
剣自体はジャンプして軽く避けた京輝だが、剣によって生まれた風圧で、一瞬体制を崩す。
そこに、誠の追撃が入る。動けない京輝に向かって、大上段からの振り下ろしが放たれた。
しかし、京輝は振るわれた剣に自らの剣を合わせ、滑らせるようにして必殺の一撃を完璧に受け流した。
「!?」
少しくらいはダメージが入ると思っていた誠は、目を見開く。
京輝はそれを気にとめず、着地した後、誠の左脇腹を狙って剣を振る。
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