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誠は脳内から驚きを消し去り、水平に振られた剣を受け止める。
しかし、受け止めた剣はあまりにも軽い。そして直後…目の前には剣を両手で持ち、また攻撃を繰り出そうとする京輝。
―囮―最初から先程の攻撃は誠にダメージを与えるものでは無かった。
誠がそう悟ると同時に京輝が口を開く。
「…避けてくださいね!」
気合いの入ったボーイソプラノから放たれるとは想像もできない、振り下ろしの一撃。
誠は剣を両手で持ち、頭上でそれを受け止めた。
「まだまだ…!」
振り下ろしから袈裟斬り、水平斬り、サマーソルトキック――…。
次々と繰り出される連撃。技と技の間には、一瞬の隙もない。
「ぐ…」
誠は攻撃を弾き、かわし、受け流し―防戦一方へと追いやられた。
攻撃を受け続け、一分が経過した。勢いは衰えることなく、誠は未だに隙を見つけられずにいた。
京輝は表情一つ変えずに、息も乱さず、攻撃を放ち続ける。
対して、誠は京輝の攻撃を的確にかわし、まず当たることはないだろう。
「…ちっ」
京輝は拮抗状態をこれ以上続けても、自分の体力を消耗させるだけだと悟る。
そして、すぐさま誠から距離をとった。
「…」
そして考える。
連続攻撃を仕掛けたところで、意味は無いだろう。本気でやれば一瞬で終わらせる自信はあるが、そこまでするほどの事ではない。
なら、どうすれば?
結論…。攻め方を変えることだ。
「…ふ…」
小さく息を吐き、相手を見据える。全身の力を一度抜く。
対して、誠は京輝が勝負に出ること予想し、警戒心を強く、いつでも動けるように構える。
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