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留華「何で転がってるの?」
京輝「…転んだ」
芝生をうつ伏せで無様に転がる自分を見下ろす留華の視線に泣きたくなる。
勝負に出たはいいが、留華の声が聞こえた瞬間、全身の力が抜けて転がるハメになった。
留華「今日はスカートじゃないよ?」
京輝「覗き目的じゃねえし!」
性格180゚変わりやがったなこいつ。今まで堅苦しい口調と偽りの性格で我慢し続けてたのか?
ま、そうだとしてもこれから先は留華の自由だし、俺が踏み込む事でもないと自己完結しておこう。
留華「こんな朝早くに何してたの?」
不満そうな表情になる留華。
京輝「朝の運動…誠さんに付き合ってたの」
とりあえず転がったままはマズいので体を起こす。
留華「ふぅん…朝ご飯出来そうだから、帰ろ?」
まだ納得していないみたいだが、追及はしなかった。
京輝「ああ」
‡‡‡
あのまま、留華が京輝を呼ばなければ、自分は負けていただろう。
京輝が動き出した瞬間、自分の目は京輝の姿を捉えることは出来なかった。
そして、いつの間にか自分の真横に京輝は居た。
その速さもさることながら、京輝の戦闘法はかなり独特だった。
純粋な筋力はかなり低いだろう。だが、生み出された衝撃は莫大。
そして空中でも敵の攻撃を確実にかわす機動力。
敵の攻撃を完璧に見切る判断力に反射神経。
あの頃とは、比べ物にならない。
「…強くなったな」
誠は前を歩く二人に気付かれないくらい小さな声で、微笑みを浮かべながら呟いた。
‡‡‡
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