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何気ない日常でも、俺にとっては新鮮だったもので、時間が経つのが早く感じる。
長いように思えた夏休みも、ついには後3日、2日、1日…。
そして、今日から新学期である。
京輝「栄華さんの言うこと、ちゃんと聴くんだぞ?」
キュム「ぷぅ!」
留守番することになるキュムに一応念を押しておく。
キュムは栄華さんの家事の手伝いや、たまには誠さんの道場の手伝いをするようになった。
力が強く、動きも速い、何より浮けるから、色々便利らしい。
留華「兄ちゃん心配しすぎだよ。キュムだって頭いいんだから」
留華の口調だが、あの後から段々崩れていって、遂には俺のことを兄ちゃんと呼ぶようになった。
ま、別にいいけど。
京輝「んじゃ、そろそろ行くか」
留華「だね」
まだ時間は余裕だが、万一にも遅刻は避けたい。
栄華「行ってらっしゃい」
留華「行ってきます」
京輝「…行ってきます」
ちょっとした違和感を感じた。今まで外出時に挨拶なんてしなかったからな。
ま、いつか慣れるだろう。
光「おはよー!二人とも」
少しすると、豪邸から光が出てきた。
京輝「おは~」
留華「おはようございます」
一瞬で丁寧になる留華。
京輝「…切り替え早」
光に聞こえない程度の声で呟いてみた。
留華「…家族以外の前では無理です」
留華は無表情で言い切った。
京輝「ふうん…」
光「今日は早いね!いつもはこっちが迎えに行くのに…」
光が話しかけてきたので、留華との会話は中断した。
京輝「新学期早々遅刻なんて嫌だからな」
光「へえ~」
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