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京輝「に、しても…本当の兄妹じゃないとはバレないもんだな」
帰路にて。俺は何となく呟いてみた。
留華「髪の色が全然違うのにね」
留華は自分の綺麗な銀の髪を摘んで、見ている。
京輝「顔立ちだって……………」
…あれ?何か嫌な感じが。
留華「…結構似てるよ?」
京輝「がはっ…」
いや、百歩譲って顔は似てても、俺の顔を見たことのある奴なんて、幸助と留華と亜紀さんしか居ない。
京輝「雰囲気とかは…」
留華「そればっかりは分からないね。でも何かしら共通点があるから、私達は疑われないんだよ」
どうやら、俺が来る少し前から留華と知り合っていた光でさえも、俺と留華は本当の兄妹だと思っているらしい。
多分小さい頃の事だから記憶が曖昧なんだと思う。
京輝「…そういや、何で留華は本当の兄妹じゃ無いってバラすのが嫌なんだ?」
前に嫌そうな反応をしていた気がするので、聞いてみた。
留華「え?私は別に嫌じゃないよ?」
しかし、呆気に取られた顔で留華は聞き返してきた。
京輝「は?夏休みにあいつらに聞かれた時、言うの戸惑ってたような気がするが…」
留華「兄ちゃんがみんなから変な反応とかされたら嫌だから…」
と、二人で目を合わせ、ため息を吐いた。
京輝「またか…」
留華「まただね…」
二人して過剰に気を遣って、意志疎通が疎かになる。まさに俺達が十数年陥っていた状態そのものじゃないか。
京輝「…ま、今更バラさなくてもいいか」
留華「だね。…兄ちゃんは何か困ることとかあるの?」
困ること…か。
京輝「素性調べられると困るかもな」
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