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暑い夏が過ぎ
寒くて辛い冬が過ぎ
暖かい春が訪れようとしていた
俺は自分でサヨナラしたくせに
カオリをひきずっていたんだ
会いたいってね
卒業後の就職先は
カオリが住む街の近くに決めたんだ
偶然カオリに会うかもしれないなんて
悲しいぐらい女々しい期待を抱いていたんだよ
忘れもしない卒業式の当日
俺宛の手紙がポストに入っていた
差出人はタムラヒロエ
直ぐにカオリの母親だとわかった
その手紙にはこう書いてあった……
『マサルさん
貴方にお手紙を送る事を許して下さい
貴方を苦しめるつもりも
悲しませるつもりもありません
ただ忘れないでいて下さい
カオリの事を
あの子がこの世に存在していた事を』
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