繋いだ手

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「今日BARは休みにして、皆で海行って花火でもしよか?」 まだ夏の始まり。 少し肌寒い日の夕暮れ時に、シンさんの小さな思い付き。 店の中にたむろってた数人が同意して、速攻で皆準備を始めた。 「美沙ちゃんも行くでしょお?」 やっぱりこの店で顔見知りになった理香子ちゃんが近寄って来る。 あたしより少し年上の、美容部員の理香子ちゃん。 それだけしか知らないけれど、あたしは微妙にこの女(ヒト)が苦手だった。 アーケードの通りの端に店を構えるコスメショップ。 彼女はこの界隈でも有名な美人で、常にフェロモンを振り撒く仕草と話し方。 通り沿いのショップにもLet it Rideの常連の中にも、彼女の元カレや一夜のお相手が大勢居るらしく、あたしの仲間の中には彼氏を寝取られた、なんて彼女を悪く言う子もいた。 そして、あの噂。 『この間、陽司が理香子にお持ち帰りされてたよ』 .
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