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「…つうか、美沙。久しぶり……」
俯いていた顔を陽に向けると、彼は真っ直ぐにあたしを見つめていた。
恥ずかしくて、顔を逸らしたい衝動と、もっと陽を見つめていたいと思う感情。
「……うん。久しぶり、だね…」
長い沈黙。
シンさんは間に入る事もなく、いつのまにか壁の花と化していて全くこちらを見ない。
まるでそこには最初から、あたしと陽しかいないかのように。
周りはやけに静かで。
グラスの氷がぶつかって踊る小さな音色以外、BGMさえも聞こえない。
陽と目が合ったまま、逸らす事も出来なくて。
ドキドキする胸の奥で、冷静に彼との想い出を手繰るあたしがいた。
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