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『あの時の子供は、シンさんの子?』
『……そうだよ』
陽をあたしから解放したくて吐いた嘘。
でもそれはきっと、彼を苦しめて、傷つけた。
今、言葉にしなければ、あたしは一生後悔する。
重苦しさを帯びた空気の中、意を決して口を開いた。
「……陽に。謝らなきゃいけない事があって…「知ってる」
陽は表情を変えず、微かな微笑みを浮かべたままあたしの言葉を遮る。
「でも、謝るのは俺の方だから」
彼は一瞬目を伏せて。
「本当に大事なモノに気づくのに、3年もかかった」
……あたしがずっと求めて止まない、あの笑顔を見せた。
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