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我慢していた涙が頬を伝って、もう視界がぐしゃぐしゃで彼の顔さえ上手く見えない。
「もう、忘れてるって、……嫌われてるって、思ってた…」
何故だか嬉しそうに彼は声を上げて笑う。
「俺のプロポーズ、2回も断った女、忘れられる訳ないよ」
そう言ってから陽はぐっと真剣な眼差しを向けた。
「美沙の嘘なんて、最初から分かってた」
「……陽」
「美沙があんな嘘を吐いた事が。あんな嘘を吐かせた自分が……許せなかった」
傷付け合った日々。
いつか、二人で笑って思い出す日が来るんだろうか。
陽の変わらない仕草を見つめながら、そんな事を考える。
「全部受け止めるって言ったクセに、美沙と向き合うのが怖くて。俺に幻滅されるのが怖くて……他の女に逃げたんだ。でもすぐに後悔して……」
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