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「こんないい加減な俺じゃ、美沙の前に顔出せないから。でも美沙に会いたくてただ必死で、自分の気持ちに向き合って生きてきたよ」
彼は、あたしの頭をポンポンと撫でて。
「お喋りなオッサンから聞いたかもしんないけどさ。……ずっと、ずっとずっと忘れられなかった」
陽の瞳は今までに見た何よりも、優しい光を帯びていて。
落ちていく。
深く深く。
大きな心の中。
「今までに出逢った誰よりも。一番、美沙が好きだよ」
3年間。
一度も聞く事の出来なかった、陽の低くて甘いその声が、あたしの身体の全ての細胞に染み渡る。
何度も何度も後悔して。
何度も何度も想い出に縋って。
何度も何度も枕を濡らして。
何度も何度も夢に見た。
願うはただ
愛しい君の温もり。
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