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「あれから3年もかかったけど。今なら美沙の事、丸ごと全部。受け止められる自信ある」
椅子から振り返ったまま黙って俯くあたしに、陽は不安の色をその声に乗せて呟く。
「……今更、かな。俺じゃ、ダメ?」
「ダメ…じゃない。……陽が。陽じゃなきゃ。陽だけが、好きなんだもん…」
見上げた先にあるのは。
ずっと、ずっとずっと。
求めていた笑顔。
………………………
「せーのっ」
『パーーーンッ!』
『パンッ。パーーーン』
いきなり、あたしの隣に居たシンさんの掛け声と同時に、たくさんのクラッカーの音が響いた。
『おめでとー!』
一斉に、見知らぬ客やカウンター越しのイケメンバーテンまでもが、突然の祝福の言葉を繰り出した。
……まるで、最初から計算されていたかのように。
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