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正面からは理香子ちゃんが至近距離からあたしにメイクを施し。
背面で俊輔が痛いくらいにあたしの髪をとかしてはピンを差し込み。
足元ではエリは真剣な面持ちでドレスの裾を繕っていく。
何でこんな事になっているのか。
訊きたくても、口を開いた瞬間、物凄く怒られそうだ。
「……完成~!」
そして、何だか解らないままに、ようやく椅子から解放される。
「ねぇ、これ何?今日なにかあるの?」
「……」
三人は答える事なく顔を見合わせて、ニヤリと笑う。
それと同時に、また更衣室のドアがノックされた。
「……用意、出来てる?」
今度は誰?
疲れ果てて言葉を失っていると、後ろから急かすように理香子ちゃんが背中を押した。
「……ほら。王子様の登場だよ?」
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