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「お、やっと出てきたな」
カウンターから顔を覗かせたシンさんの、何とも意地悪そうな笑み。
……また、またまた嵌められた?!
「……っ」
咄嗟に陽の腕をギュッと引き、一目散にホールを抜け、古着の店舗のフィッティングルームへと駆け込む。
「おーい、主役!逃げんなよー」
背中にシンさんの声を浴びながら、フィッティングルームのカーテンを閉めた。
「……何これ?」
全身が映る鏡の前に立った、あたしと陽。
純白のドレスに艶やかなヘアメイク。
普段よりも綺麗に髪をセットした陽のスーツ姿。
まるで……結婚式の装いの二人。
「陽っ?」
理由を問うべく、慌てて隣を見上げた途端、陽の長い腕があたしの身体を包み込んだ。
「俺がシンさん達にお願いしたんだ」
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