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二人でフィッティングルームを出てホールへ向かうと、待ちくたびれたシンさんが陽の頭をぐしゃぐしゃにした。
「シンさん、ちょ、最悪っ!」
「俊輔にでも直してもらえよ……」
そこへちょうど更衣室から出てきた俊輔が現れ、無理矢理陽の腕を掴む。
「陽司、来いよ」
「え、俊輔?「美沙ちゃん、ちょっとだけ陽司借りるね?」
そう言い残して二人は更衣室の中に消えた。
あたしの中に芽生えていく小さな不安。
今更、だけど、何も起こらないといい。
「……シンさん、あの二人大丈夫な訳?」
俊輔と一緒に出てきたはずのエリが苦笑いを見せると、シンさんはいつもの様にニヤリと笑って。
「さあな?……つぅか、いつになったら始められるんだよっ」
俊輔と二人、更衣室から出てきた陽の髪はすっかり元通りで、俊輔に背中を押されてあたしの隣に戻って来た彼の姿を見て安堵を覚えた。
「あの、大丈夫、だったの?」
俊輔と二人、更衣室で何があったのか、気にならないと言えば嘘だ。
「……知りたい?」
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