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やすが二人を発見したのは大体5年前の大雨が降る真夜中。
「ひゃぁー、雨ひどいなぁ」
洗濯物を取り込もうと玄関を開ければ音を立てて地面から羽上がる雨水。
これではせっかく干した衣服も意味がないだろうと、昔からあまり好きではない雨に顔を思わずしかめてため息を漏らしてしまう。
淡い青色の傘を差し洗濯物の干された中庭に向かおうとすればふと門の外に小さな人影。
暗闇にぼんやりと浮かび上がるそれは少し不気味でもあるが何処か切なく、ヤスも思わず目を奪われる。
「…子供?」
平均よりは小さな体つきのヤスだが、門の外の人影はそれより小柄のようで、単純に子供と判断する。
しかしこんな夜遅くに何をしているのかと不思議で仕方ない。
特徴を掴もうと目をこらせば立ち尽くす異国の人間のような顔立ちの少年、そしてその背には更に小柄な少年が確認出来る。
均等なスピードで盛り上がる背中のそれに、寝ているのだと分かる。
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